会長の”三行日記”

2011.06.07

敵は悪臭 No.2022

津波の被災地が悪臭に悩まされているということを聞きました。港の近くにある加工工場から流れ出た大量の魚や、とても収拾しきれない生ゴミが原因だと言われます。
 
湾から1キロほど離れた宮城県気仙沼の田んぼには、腐ったサンマやサバが散乱していて、30分もいたら皆、帰ってしまうほどの臭いだそうです。
 
この三陸の一大漁業基地である気仙沼では、沿岸にあった多くの水産加工会社の冷凍や冷蔵庫などの施設が壊れ、多くの貯蔵品である魚が流れ出してしまいました。
 
この散乱している魚などを市は何とかしたいと思っているものの、広範囲に亘っていることから対策が追いつかないそうです。また市内90箇所にある冷凍・冷蔵施設には、約2万トンもの魚や加工品が残っていて、これが腐敗しているとのことです。
 
こうしたことが悪臭の原因となっているわけです。また岩手県宮古市では、腐り始めて悪臭を放つ魚を山中に埋めていて、まるで魚の土葬のようだとも言われているそうです。
 
また一方では、石巻などご存知のとおり、震災で地盤沈下し、潮が満ちてくると道路が冠水してしまいます。このため、今までは週2回来ていた収集車が入れなくなっている状態となっていて、住民からはその収集や悪臭についての苦情が多く寄せられ、トラブルにまでもなっていると言います。
 
また高校前の空き地には、瓦礫の山が3階ほどの高さになるまで積まれているそうです。このため、臭くて学校の窓を開けられず、野球部員などはマスクをして練習しているような状態だと聞きます。
 
こうした影響で、一部の人たちの間では、頭痛やのどの痛みなど身体への影響を及ぼす、体調不良まで出ている始末です。これでは被災者にとっては二重、三重の被害とも言えるわけです。
 
また季節はこれから夏に向かっていて、だんだん気温が上がると、こうしたゴミや動植物の散乱物の腐敗がどんどんと進むわけです。悪臭が心理的ストレスにもなるわけで、被災地の方々のイライラが一層募ることにもなります。
 
沼津の同友会の友人にも、被災地の冷蔵庫に預け入れていた魚や加工物がこうしたことで、また違った大変な被害を受けたとも聞いています。未曾有の大震災は、このように予期せぬ所まで大変な被害をもたらしています。
 
遅々として進まぬ政府の復興対策にはあきれて言葉もありませんが、こんな時だからこそ私たち国民がひとり一人力を合わせて、自分にできる長い支援と協力を考えていかなければいけないものと思っています。