会長の”三行日記”

2012.06.11

ちょっと良い話part93 No.2224

テレビでこんな、ちょっと良い話を知りましたのでご紹介します。去る6月2~3日の2日間行われた、陸上・十種競技で右代(うしろ)啓祐選手が見事、日本記録に迫る高得点で五輪出場のチャンスを獲得した話です。
 
この十種競技というのは、まず走る分野で100m、110mハ-ドルの短距離と、400m、1500mの中距離のレ-スです。それから投てき分野として円盤投げ、砲丸投げ、やり投げの3種目、そして跳躍部門として走り幅跳び、走り高跳び、棒高跳びのやはり3種目です。
 
この10種目をすべて競うわけですから、とにかく大変です。パワーとスピードに加え、瞬発力と持久力を併せた「運動能力」すべてを兼ね備えた総合アスリートでもあるわけです。
 
右代選手はこれに先立つ昨年の大会で、8073点の日本記録を樹立しています。その一部記録を紹介しますと、100m11秒39、400m50秒28、棒高跳び4m90、走り高跳び2m06、そしてやり投げ73m06と、どれも見事な記録ばかりです。
 
また知らなかったのですが、この10の競技を2日間で消化しなければいけないのです。そうでないと今までの記録が無効になってしまうというのです。まさにモンスタ-競技とも言えますね。ただ、好記録を出したこの大会の2日目(最終日)は雷や大雨で、一時競技が中断する悪天候だったようです。
 
このため競技時間が大幅に遅れ、一時は右代選手の折角の好記録が無効となるところでした。7種目を終えたところで、右代選手は五輪A標準記録(8200点)ペ-スで順調に記録を伸ばしていました。
 
ところが8種目めの棒高跳びの際に、激しい雷雨の影響で約2時間の中断がありました。そして再開されたのが午後4時です。それから思わぬ敵となったのは競技場の照明です。
 
天候が悪かったこともあり、闇夜は早々と迫ってきます。でもこの競技場に設置されている照明設備は、メインスタンドの屋根に設置されているものだけです。通常ではここで関係者はあきらめてしまうところですが、右代選手の好記録を潰さないためにも、それから必死に様々な手を尽くしたようです。
 
9種目目のやり投げは小さな投光器が急遽用意され、そして最後の1500mでは6台の乗用車まで競技場内に乗り入れ、ヘッドライトでトラックを照らしたというのです。
 
生憎、競技時間が詰まったことと十分な明るさでなかったため、1500mでタイムが伸びず、自己の持つ日本記録は更新できなかったそうですが、まさに関係者の必死な努力が実を結び、右代選手を五輪候補に押し上げたのでした。
 
この種目での五輪出場は東京大会の鈴木章介選手以来、実に48年ぶりと言います。ですから何とか48年ぶりの代表に選出され、この大会での必死に盛り上げてくれた、関係者の期待に応えてもらいたいものです。でもまさに十種競技の選手はキング・オブ・アスリ-トと言えるものですね。