会長の”三行日記”

2013.06.24

奇跡のリンゴ No.2416

 週末、家内と久しぶりに映画に行ってきました。二人で映画を観ることなど、ほとんどなかったわけですが、平日はほとんどボランティア的事業のひだまり亭があることや、週末になっても老いる私の父親の面倒をみてもらっている関係で、彼女が家を離れる機会が少ないからです。

そんなわけで、彼女にも少し気晴らしをさせてやりたいと思い、気分転換を兼ねての映画鑑賞だったのです。観てきたのは「奇跡のリンゴ」という映画です。娘たちからも「お父さん、泣ける映画だよ」と薦められたこともあって、この映画を選びました。

結論から申し上げると、夫婦はじめ親や子どもたちまで含んだ家族愛に溢れた、良い映画でした。夫婦役を演じた主演の阿部サダヲさん、菅野美穂さんが、さすが役者だなあと思わせられる、とても素晴らしい演技を見せていたと思います。

この映画は青森県でりんご農家を営む、木村秋則さんの実話をもとに描かれたものです。元々、虫のつきやすいリンゴはその栽培に農薬が欠かせないと言われていました。しかし大量に散布する農薬が、しだいに愛する妻の体を蝕んでいることに気がついた木村さんは、何とか無農薬栽培ができないものかと取り組み始めます。

でも想像以上にその栽培は難しく、初めは力を貸してくれていた青年部の仲間にも次第にそっぽを向かれ、私財を投げ打ってこれに没頭することから、電気を止められたりして生活は困窮を極めていきます。

またそれでも、りんごの木に「何とか育ってくれよ」などと話しかけている秋則さんゆえ、周囲からも白い目で見られ、ほとんど相手にされなくなるのです。そんな彼を支えてくれたのは愛する妻と、婿入り先の親父、そして3人の可愛い娘たちです。

中でも小学生の長女が学校で書いた作文には、父親への信頼と愛情が溢れるもので泣かされてしまいました。こうして10年が過ぎたある日、無農薬のりんごが実ることとなるわけですが、執念と家族のそれぞれの愛がもたらしたものと言えるのではないでしょうか。

このように、言われていた不可能を可能にするためには、家族愛のような、目に見えない要素の占める割合が決して少なくないのではないでしょうか。娘たちが言っていた、やはり「泣かされてしまった」映画でしたが、一見に値するものと思います。それにしても、それぞれ料金が1000円という、夫婦割引の映画鑑賞システムはとても得をしたようで嬉しかったものです。