会長の”三行日記”

2014.01.09

自爆営業 No.2508

 今年も多くの方から年賀状をいただきました。例年、相も変わらず反省させられるのが、自分から差し出す年賀状にはなかなか自筆のコメントが入れれないことです。いつもギリギリの晦日近くになって慌てて作成することから、何か書き入れたいのですがままなりません。

そんな反省を毎年繰り返しながら来年こそはと思っているのですが、来年の同時期、果たしてどうなっていることでしょうか。それにしても一言でも書き添えてある年賀状を頂くのは嬉しいものです。

さてこの年賀状についてなのですが、昨年暮れの新聞に「自爆営業はつらいよ」との記事が載っていました。何かそのようなことがあるのではないかと、兼ねがね思うことはあったのですが、実際に郵便局員に課せられている事実を知らされ、少なからず驚かされるものです。

日本郵便の社員に課せられている販売ノルマは、この年賀はがきに限らずギフト販売のお歳暮や地方特産品にも厳しいものがあるみたいです。そしてノルマを達成できない社員は、商品を自分で買い取る「自爆営業」に追い立てられているとのことです。

食卓には郵便局から買った食材が並んていると、40代の正社員男性がこぼしていました。「郵便局限定」と書かれた段ボ-ルには20袋入り2000円のレトルトカレ-が詰まっているのですが、食べきれず台所に積まれています。

また自宅にはこの他にも毎月、ラ-メン、チョコレ-ト、肉の詰め合わせなどがゆうパックで届きます。日本郵便のギフト販売はカタログから欲しい商品を選び、郵便局の窓口や社員を通じて注文され、ゆうパックで送るという仕組みになっています。

男性に課せられたこの販売ノルマは年間約50万円、自力で売れるのがせいぜい5万~10万だと言われています。このため年に20万円近くを自腹で買わなければいけないのです。またこのギフト商品は金券ショップに持ち込まれる、同じくノルマで課せられている年賀はがきと違って、転売が難しいからです。

こうしてノルマの達成率が低いと上司に呼び出され、「なんで売らへんのや」と怒鳴られるのです。そして「自分で買ってみないと客に勧められないぞ」と、暗に自爆営業をほのめかすところもあるのです。

何か変てこな仕組みを感ずるものです。年賀はがきにしたって、一般職員がひとり5000枚ぐらいの販売ノルマがあると聞いていますが、なかなかこのご時世でこれも達成が難しいのではないでしょうか。

こうした自爆営業をするのには正社員になりたいからとの事情もあるようですが、1年中、こどもの日や母の日、父の日などイベントがあるたびにノルマに追い立てられ、振り回されていてはたまったものではありません。

ギフト商品の最大顧客は郵便局員なんです」と言われているのが何とも皮肉な話です。また最近の記事にも載っていましたが、郵便局員の人数が不足しているところはこの販売に手一杯で、年賀状などの遅配をもたらしているとのことです。郵便業務の最大の使命は何なのか、本末転倒になりかねない実態を心して熟慮してもらいたいものです。