会長の”三行日記”

2015.05.18

橋下徹氏政界引退 No.2707

 まずもって長い間、カキコミができなかったことをお詫びします。さて昨日は大阪都構想を市民に問いかけた住民投票が行われ、その結果、橋下さんが政治生命を懸けていた都構想は、僅差ながら否定される結果に終わりました。

これにより即日のうちに橋下さんは政治家から引退する旨、はっきりと意思表示することになったのです。ちょうど7年ぐらい前でしょうか、テレビを賑わせていた茶髪の弁護士が大阪府知事選に立候補し、見事政治家としての道を歩み出したのです。

それからの政治活動は破竹の勢いで、維新の会という国政政党のトップにも登り詰め、大阪市長にまでなるという、浪花の風雲児と呼ばれる名前そのものでした。でも歯に衣を着せぬ発言が続く中、必ずしも味方ばかりではなく、多くの軋轢が生まれたのも事実です。

そして大阪府知事と市長の両方を経験したことから、府と大阪市の二重行政による無駄を強く感じ、大阪市を解体して府と特別区に仕事を分けるこの都構想を掲げたのです。ですから賛否を問うこの住民投票への思いは人一倍強く、投票時間締切寸前まで街頭を回っていたと言われています。

しかしながらその思いは民意に届かないという結果に終わったのです。これで精も根も尽き果てたということでしょうか。でも府知事になった途端、職員給料と併せ、自らの給料や退職金にも手を加えカットするという改革手法は大勢の評価を受けたことでもあり、あの池上彰さんでさえ、今の日本に欠くことのできない政治家だと呼んでいるくらいです。

ですから政治家引退という話は少しもったいないような気がしないわけでもありませんが、あの橋下さんのことだからすっぱりと手を引いてしまうことと思われます。住民投票前、周囲の賛成可決という楽観論の中、橋下さん自身は一貫して厳しい見方をしていたようです。

ほぼ1か月前、「人間は不安が残っている限りは、最後は現状維持を望む。もっと厳しいと思いますよ。現実は」と記者団に漏らしていたみたいです。その予感が皮肉にも当たってしまったのです。

こうして大阪都構想は実現不可能となったわけですが、その選択は大阪市民が選択したわけですから、門外漢である私たちがどうのこうの言う筋合いのものでもないでしょう。それよりむしろ1つ喜ばしいことは、安倍さんが密かに進めようとしている憲法改正の動きに水を差したことです。

既に知られていたことでもありますが、この改憲については安倍さんと橋下さんは盟友とも言えるくらいの関係にあったのです。ですから水面下では橋下氏側が安倍政権を応援し、その一方で、安倍氏側は都構想を後押しするという「互助関係」があったとも言われています。

それが橋下さん引退で、維新の党は逆に自民党に対抗する勢力として、野党として民主党などとの再編をにらんだ連携を加速させる可能性があると言われているからです。こうなれば護憲派としての私たちの望むところでもあるわけです。

とにかく、いろいろと騒がせてくれた橋下さんの引退は少し寂しいものがありますが、世の流れはまた違ったリ-ダ-を求めていると言えるかもしれません。それにしても先日の韓国出張時、現地でも話した人からは、安倍さんは本当に人気がないですね。