会長の”三行日記”

2015.07.06

ギリシャ問題 No.2733

 昨日のユネスコ委員会で、我が県の韮山反射炉が他の軍艦島などと並んで世界遺産に登録されることになりました。小さなころから度々訪れている場所で、これといった感慨も持ちませんでしたが、こうして世界遺産登録となるとまた多くの人々が訪れることになるでしょうから、地元としては大喜びではないでしょうか。

さて欧州連合(EU)が求める財政緊縮策を国民に問うた、ギリシャの国民投票で反対票が大幅に賛成票を上回りました。元々多額の負債を抱えるギリシャに何とか財政再建をと示されたこの緊縮策ですが、このところ厳しい生活が続く国民の間からは否決されたようです。

ではいったいどうしてここまで赤字財政がが膨れたのでしょうか。我が国も他人事ではないので少し調べてみました。次の3つが指摘されています。

まず1番目に挙げられるのが身の丈に合わない年金制度と言われています。年金給付水準が現役時代と大差なく他の先進諸国と比べて高いことと併せて年金受給開始年齢が早くて55歳前後であることです。

少し古いデ-タですがそのレポ-トによると、年金引き上げはインフレ率を上回り、支給額も賃金水準の73%と、ユーロ圏内では図抜けて多かったと言われているのです。

また年金受給の平均年齢は61歳で、55歳からの前倒し受給も可能で、さらに「危険な職種」と言うことで、軍人や警官はさらに早期に受給できると言われています。この年金制度については我が国を含む高齢化が進む先進諸国の共通課題ですが、ギリシャの悲劇はEU全体の2%という、GDPの小さい産業基盤の乏しい国だからです。

次に政権交代があるたびに公務員としての雇用を増やしてきたことが挙げられ、公共部門の労働人口は就業人口の約4分の1に相当すると言われています。過去30年間拡大的な財政政策が続き、歳出の大半が巨額の公共投資に回りました。

でもそうした投資は経済成長を促したものの、必ずしも効率的ではなく、巨額の公共投資が同国における公的部門の肥大化につながり、就業者数の4分の1が公務員と言われるまでになったのです。

ギリシャの人口が約1100万人と言われますが、実に110万人もの公務員を生み出したのです。加えて、公務員の給与水準は民間より高めで、この国ではあり得ない水準で異常とも言われているのです。

そしてもう一つの理由はギリシャが脱税文化を持つ国だからということが指摘されています。脱税や税務署職員の汚職が蔓延しており徴税能力の低さにつながっているとのことです。

例えば自営業者は一定水準の所得以下になると無税となることから領収書を発行しないことや、税務署職員に対する賄賂による脱税等がまかり通っていたからです。これでは良くなるはずがありませんね。

この国民投票の結果を受けて、ギリシャのチプラス首相は新たにEU側と支援協議を始めると息巻いているようですが、債務不履行が明白なことから、そう簡単にはいかない問題であり、この先世界経済を揺るがすのではないでしょうか。とにかく私たち企業もそうですが、どんなことをしてでも借りたものは必死に返す努力をしなければならないものです。