会長の”三行日記”

2015.11.16

悲惨なテロ No.2782

 嬉しい悲鳴でほとんど毎日と言ってよいくらい、お客様からの引き合いがあり、東奔西走で会社を留守にすることが多いこの2週間でした。また週末には工事も組まれていて、埼玉・浦和あたりまで出掛けて行きました。

従ってほとんどこの期間、カキコミができなかったわけですが、どうぞご容赦頂きたいと思います。そんな私たちが仕事に追われている間、やはり世の中は平穏にじっとしてはおらず、土曜日の早朝、フランスで凄惨な同時テロが起きてしまいました。

イスラム国による犯行ですが、何とも惨く腹立たしい事件です。その後の情報でこのパリ同時多発テロは、組織化された集団による周到に準備された計画的犯行だったことが明らかになってきました。

それは3つに分かれたグル-プが短時間で波状攻撃を仕掛けるという、より大きな脅威を与えようとした意図が見えるもので、競技場とレストラン、バタクラン劇場をそれぞれ襲撃し、30分余りの間に7カ所を立て続けに襲う用意周到な犯行だったのです。

このテロにより129人の尊い命が失われました。何の罪もない人々が巻き込まれたわけで、9.11のアメリカ同時多発テロ同様、フランス国民のみならず世界中の人々が大きな衝撃を受ける事件となってしまいました。

それではいったいなぜフランスがその標的になったのでしょうか。伝えるところによると、フランスが2014年9月からイスラム国への空爆に参加し、シリアに介入したからと言われています。

ご存知の通り、中東、北アフリカ諸国では2010年ごろから「アラブの春」と呼ばれる革命運動が活発になりました。この結果、いくつかの国で今までの独裁政権が崩壊しています。このシリアも例外ではなく、2011年末頃から、独裁者アサドを倒す「革命運動」が起こってきました。

従来から同盟国とも言えるロシアはアサド現政権を支持しました。ですが一方、このフランスを含む欧米諸国は反対勢力である「反アサド派」の支援を開始したのです。こうして欧米対ロシアの「代理戦争」とも言えるシリア内戦はどんどん激化していったのです。

そしてイスラム国は当時この「反アサド派」に属していたのですが、アメリカの攻撃が衰えてきた頃から、この枠にとどまらない活動を開始することになり、2014年1月、独立を宣言したのです。

こうしてその後、彼らは外国人を片っ端から捕まえ、身代金を要求したり、「公開処刑」の動画をネット上に公開し、世界を震え上がらせたことから、2014年8月、アメリカは、「イスラム国」への空爆開始に踏み切ったわけです。

そして翌9月、今回テロがあったフランスも空爆参加を表明し「有志連合国」の数は、どんどん増えていった背景があるのです。今度のテロで、長びくシリア内戦から発生した大量の難民問題の解決がいっそう難しくなるのではないでしょうか。

テロの犯行メンバ-に難民とも言える人間が含まれていたと伝えられていることから、欧州諸国は益々その受入れ拒否の動きが加速されるのではないでしょうか。とにかくこの問題解決のためにも、シリアの安定が求められるものです。

やられたらやり返す、目には目をではいつまで経ってもその繰り返しです。そんなとき現在は有志連合国にまだ入っていない我が国の役割があるのではないでしょうか。それが誤って加わるようなことがあれば、伊勢志摩サミットや東京五輪を控える我が国も、同じ危険をはらむことになるのではないでしょうか。