会長の”三行日記”

2016.09.13

販路拡大セミナ-よりNo.2 No.2892

 前回の続きです。株式会社 井口一世という会社ですが、それではどこにそんな魅力や秘訣があるのでしょうか。元々の同社はプレス屋という業種分類になるのでしょうが、普通工業製品というものは金型を作り、それから大量生産をするというのがパタ-ンです。

でも金型というのは非常にコストが高くつくと言われています。そこでその金型を使わずにモノを作るというのがこの会社のビジネスモデルなのです。その金型というのは上下についていて、基本的にはプレス機で挟み込むことによって部品を作ります。

それにより精密なモノを作れるわけですが、その金型を使わなくても精密な部品が作れるのが同社です。株式会社 井口一世の内部機械はほとんどヨ-ロッパのものを入れているそうです。世界で一番いいものを購入して、それをカスタマイズ、改造して精度を高めているのです。

従ってお客の方にしてみれば、試作の段階で果たして大量生産できるかどうか判らないモノであれば、ずっとコストが掛からなくて済むわけです。だいたい2000台ぐらいまでの量産なら、金型なしのこの会社に発注した方が3分の1以下のコストダウンで済むと言います。

それなら開発製品などリスクを伴うものがあるわけですから、メーカーの駆け込みが絶えないということになるわけです。そして会社名など看板を一切出していないのも、こうしたお客にそれだけ秘密を十分守れるだけの会社だという意思表示らしいのです。

まあもっともこの会社の社長が中心となって、こうしたお客の要望に全て応えるよう対応しているわけですから、外に出て営業する余裕もないでしょうし、また必要もないというものです。言ってみれば社長が全て会社を回しているといった顧客価値を訴求している例です。

また私たちにも縁があるところでキ-エンスという会社があります。この会社は近年、業績を伸ばしていて経常利益率50%超とも言われています。何と言っても他社との戦略の違いは単なる電気機器を売るだけでなく、生産技術の代行として必ずユ-ザ-に提案型の営業を行なっている点です。

同社からのメルマガを例えば見たお客や、HPへの問合せには必ずと言っていいくらい何らかのフォロ-をする機能が備わっています。このお客さんがどういった分野に興味や注視をしているか、一目で把握するシステムを有しているのです。

ですからお客にしてみれば単なる部品を買うだけでなく、そこに望んでいるところの商品説明や機能、応用といった要素が付加されてくるのです。これなら安心して使用できるし、一部には業務代行にも繋がるわけです。

このようにどうしてお客様から選ばれているのかとか、認められている理由は何なのかというもの、また自社にとって本来のお客は誰なのかということを、もっともっと自社においても追及していく必要があると指摘しています。その中から日本一になれる要素を見つけていくということです。

そしてそれはお客の方から来てもらうという、プル型営業に繋がるわけで、ヒト、モノ、カネに制約がある私たち企業が目指すべき採り入れる点です。ニッチ(すきま)の部分から自社の生きる道を探っていかなければと考えています。