会長の”三行日記”

2011.02.07

失敗を怖れるな No.1951

大相撲の春場所が中止となりました。やはりしっかりと疑惑を解明してからでないと、ファンを惹きつけることはできないでしょう。その信頼を取り戻すことが何よりも先決です。
 
また当初の予想通り、名古屋では河村陣営の圧倒的な勝利となりました。市民目線に立って、今までにないやり方での施政が求められているのでしょう。これで東国原前知事の去就が見ものです。
 
さて世界の建築家・安藤忠雄さんが新聞に次のように書かれていました。その要約を紹介しますが、かなり的を得た見識に、これからの時代、真剣に考えていかなければいけないことのような気がします。
 
失敗を乗り越える力を持てというメッセージを贈って、現在の若者たちに、そのどっぷりと浸かっているぬるま湯から抜け出よと、以下のように言い放っていました。
 
笑えない話ですが、外出先で具合の悪くなっているおじいさんが若い人に助けを求めた。おなかが痛い、心臓が苦しいと言ったら、「ああ、そうですか。頑張ってください」とだけ言って、その場から立ち去ってしまったそうです。

そんなバカなと思いましたが、それだけ今の若者は他者に対して無関心で、普段から余計なことには関わらないようにしながら生きているということでしょう。

だから人の命にかかわるようなことが目の前で起こっていても、その場から遠ざかることしかできない。それというのも団塊世代にあたる、今の若者の親たちが、子どもには失敗のない人生を送って欲しいという思いから、過保護に育ててきたことが原因ではないかと思います。

(中略)私は数年前に、東大の入学式で祝辞を頼まれて出席した時、絶望的な気持ちになりました。東大では3000人の入学生に対して、保護者が6000人来るんですよ。

「これから懸命に学んで自立していけ」と、親が子どもから手を離す時なのにいつまでも一緒にいる。私は2階席にぎっしりと並んでいる親たちに向かって「今日は子どもの自立の日だから、2階席の方は出て行ってください」と言いました。(笑)

若い人は失敗を怖がりますが、それは、生まれてからずっと過保護に育てられ、与えられた道の上だけを歩んできたからです。自分はぬるま湯につかってきたんだと気付かなければなりません。

 
仕事は、失敗してそれを克服するから面白いのです。仕事力とは「失敗を乗り越える能力」のことですから。
 
安藤忠雄さんはこう言って、日本の元気のない現状を残念に思い、何とかできないものかと焦りさえ感じています。でも日本人の底力は決してこんなものではないと、最後に付け加えられていました。
 
言われるとおり、10人のうちの1人でも2人でも、自分がぬるま湯につかっていることに気付いて、そこから抜け出す努力をして欲しいものです。何しろ、これからのニッポン、そうした若い人の力に支えられていくしかないわけですから...