会長の”三行日記”

2011.12.06

善意が仇 No.2122

先日少し触れた、横浜DeNAベイスタ-ズの監督候補に挙げられていた工藤さんは、その就任が実現できませんでした。GMの高田氏との信頼関係が築けなかったとのことですが、新生球団ゆえ、フレッシュな工藤さんみたいな方なら面白いと思っていただけに残念です。
 
さて、ある意味では、中国らしい出来事が新聞に載っていましたので紹介したいと思います。弊社の研修・実習生の故郷でもある、河南省鄭州での出来事です。
 
大根を300トン無料で差し上げます」、ここで農家を営む人がこんな呼びかけをしたところ、1万人以上が殺到し、畑が荒らされる事態になったというのです。
 
農民の韓紅剛さんは約4万ヘクタ-ルの畑に、今年300トンの大根が育ったと言います。しかしあまりにも採れ過ぎたために、生産過剰による価格暴落で、出荷しても採算が取れないと判断しました。
 
そこで腐らせるよりましと思い、地元メディアに連絡し「無料で市民に食べてもらいたい」と伝えました。このことが報じられたその日から、韓さん宅は大変な騒ぎとなりました。
 
電話は鳴りっぱなしで人々が畑に殺到します。呼び掛けた大根は翌日昼にはなくなり、そうすると今度は「だまされた」とか「ガソリン代を損した」という苦情が殺到したのです。
 
おまけに大根以外のホウレン草やサツマイモ、唐辛子なども、近くの畑から勝手に掘り起こして持ち帰ってしまったのです。持ち主の韓さんは畑で何度もサツマイモはダメと叫び続けたのですが、あまりにも押し寄せる人のため、声がかれただけで無駄な抵抗に終わったようです。
 
その被害額は100万円にも上ったそうですが、1農家の善意による呼びかけが仇となってしまったのです。まさに略奪ともいえる騒動にまで発展してしまったのです。
 
群集心理とも言うのでしょうか、またタダなどと言われれば、貰わなければ損という気持ちが働いてのことでしょう。誰しも持っているこうした気持ちが、ずいぶんとエスカレ-トしてしまいました。
 
もし同じことの呼びかけが日本であったらどうでしょうか。かつての日本だったら、とてもこのような事態を招くことはないでしょうが、現在の日本ではちょっぴり心配になりました。でも我が国では絶対ないと、いつまでも信じていたいですね。