会長の”三行日記”

2012.10.04

あのときあんなに頼った店が No.2289

新聞への投稿文ですが、ちょっと考えさせられる話です。「あのときあんなに頼った店が」という題で寄せられていました。熱しやすく冷めやすいのが日本人かもしれませんが、頂いた恩はいつまでも胸に持ち続けたいものです。
 
近所の青果店に行ったら、奥さんとご主人がしょんぼりしていた。最近お客さんが減り、この日は特にひどくて、朝から数人しか来ないという。

ネギ、ナメコ、豆腐、リンギ、牛乳、食パンなどどれも驚くほど安いのに。「お客さんは1ケ所で肉も野菜も買えるス-パ-が便利なのでしょうね」と奥さん。

1年半前のあの震災のとき、ここが店を開けてくれてどんなに助かったことか、私がそう言うと、奥さんは目を赤くして「あのときは午前4時から準備して、主人は何度も車を出して商品を調達したけど」「あれは何だったのかしら。時たま、お世話になりましたと言ってくれる人もいたけど、来てくれない人も多い」と話した。

震災翌日、長蛇の列をなすお客さんに対して奥さんが「もう少し待てば品物が入ってきますから、一人1個を守って、買い占めないで。分け合えば行き渡ります。辛抱しましょう」と大きな声で繰り返していた姿を私は覚えている。

不安やいらだちで一触即発に近い心理状態だったのに、なぜか心がす-っと落ち着き、平常心を取り戻したのは私だけではなかっただろう。

大規模店の開店や再開は明るく、にぎにぎしく報じられるが、個人商店は取り残され、お客を奪われ、追い込めれていっているように思う。困ったときに一番力になってくれた個人商店を見捨てていいのだろうか。今度は私たちが力を合わせて支える番ではないだろうか。

 
まさに「喉元過ぎれば熱さを忘れる」とはこのことを言うのではないでしょうか。非常時に大型店舗が何をしてくれたと言うのでしょうか。この話に限らず、全国各地においても小さな商店はどんどん大型店に押され、シャッタ通りが増えています。
 
でもその大型店は地域に根ざしていると言えるのでしょうか。たとえ小さくても地域にしっかりと足を着け、災害時には商売抜きでみんなで助け合う、そんなお店を守らなくて果たしてよいのでしょうか
 
中小企業家同友会が提唱している、既に制定されている中小企業憲章の実践と推進が本当に求められているものです。