会長の”三行日記”

2013.03.05

生き残り戦略その1 No.2355

先日も少し触れましたが、私たち中小企業の生き残る要素は他社にないものを持つということではないでしょうか。それは技術や商品、そして人や情報の差別化にあると言われていますが、大企業と違って私たちの一番手っ取り早いのは、やはり人という分野です。

なかなか他社にない技術を持つと言っても、中小企業、特に私たちのようなレベルでは難しいものです。従って比較的簡単に取り組むことができるのが、人(社員)の差別化ということになります。

それは社員一人ひとりが、いかにお客様の喜ぶ姿を描きながら仕事ができるかということに掛かっています。今回の弊社のように、大手が納期が無いからといって断わった物件を、同じように断わっていて私たちの存在価値は生まれるものでしょうか。

納期がなくて確かに厳しかったのは事実です。エンドユ-ザ-の開店を4月に控え、引き合いを頂いたのが1月末、3日間で5面の盤の大きさ等算出しながら見積を提出、納期は2月20日頃と言います。それゆえ、注文を頂けるなら早急にと申し入れたのですが、なかなか返事がありません。

きっとお客様の仕様がコロコロ変わっていたのでしょう。1週間後の2月4日にようやく最終仕様が固まり、手配を進めるようにと返事をいただき、部品手配と図面作成に取り掛かりました。間に軽井沢や平塚の出張工事を挟んで厳しかったのですが、早朝や夜遅くの時間を活用しながら図面が完成し、客先に確認申請をしたのが3連休の最終日である11日です。

ですから実質の製作に取り掛かったのが連休後の12日以降です。一部は先行手配していた関係で入荷していた部品もありましたが、板金等の製作モノはそれからの手配になります。こうしてそれから約7日間で盤を作り上げるのだから大変です。

おまけに忙しいときは仕事が重なるもので、16、18、20、21日と、この現場製作に携わっている社員も別の出張工事に出掛けなければなりません。この社内製作が忙しいなどという理由は他のお客様には通用しないのです。

こうして仕事を進めたくても掛かれないジレンマはありましたが、出張工事から帰ってきて、疲れている体に鞭打ってもらって製作を進め、何とか指定されていた21日に納めることができたのです。本当に感謝以外の言葉が何もないものです。

これは自分たちの会社に求められているものを、私だけでなく、社員全員が理解しているということではないでしょうか。一度約束した納期は絶対的なもので、言い訳ができないものです。そうした使命感に支えられているとも言えるものでしょう。

またどこでも楽にできるのでは何の差別化にもなりません。言い換えれば、そうしたものでは私たちにお鉢が回ってこないとも言え、無理なようなものでも可能にするから出番があるのです。納期に追われていたため、小さな社内的ミスはありましたが、幸いお客様に迷惑を掛けることなく、何とか仕事を完了できました。

予定通り納めてもらって助かりました。これからもまたよろしくお願いします。」こうしたお客様の声や喜ぶ姿に、「やってよかった」という、新たな生きがいが生まれるもので、小さな会社の生き残りに繋がるものではないでしょうか。