会長の”三行日記”

2015.03.17

女子マラソン選手選考 No.2701

 世界選手権に派遣する女子マラソンの選考が先ほど行われ、3人の選手が決まりました。名古屋で日本歴代8位となる2時間22分48秒をマークして日本人トップの3位に入った前田彩里、同大会で2時間24分42秒で日本人2位だった伊藤舞、また3枠目に選出されたのは大阪国際で2時間26分39秒の日本人トップ(全体3位)の重友梨佐の各選手です。

この結果、横浜国際で全体のトップで優勝した田中智美選手は代表に選ばれず落選したのです。この選考に解説でお馴染みのスポ-ツジャ-ナリスト増田明美さんがだいぶ噛みついたようです。

この二人のタイムを比べてみると、大阪の重友さんが2時間26分39秒、田中さんは2時間26分57秒と大差はなく、しかも重友さんは日本人トップと言っても優勝者と3分以上も差をつけられていたのです。

そして国内選考会で優勝したのにもかかわらず、五輪を含めた世界大会の代表入りを逃したのは93年以降で初めてとも言われているのです。まさに優勝しても評価されないのです。

増田さんの「どうして同じ26分台で大阪3位の重友さんなんですか」という問い掛けに、日本陸連の強化委員長の答えは次のような理由なのです。日本陸連は今回から選考で有利になる設定タイムを導入。女子は2時間22分30秒で、前半消極的だった田中より、前半から攻めて後半に失速した重友の方が、陸連の評価は上だったというのです。

そして強化副委員長は「田中についてはレース内容が物足りない」とし、「我々は現場のプロとしてやっている」と選考に胸を張り、専務理事によると、最終決定の理事会では特に異論は出なかったと言います。

陸連はレース内容が選考理由とのことで、田中は暴走したペースメーカーに付いていかなかったことが消極的とされ、大阪国際はペースメーカーが不在だったことから、重友は前半からハイペースで走り、後半に失速したが評価は上だと言うのです。

でも公務員ランナ-の川内さんは 「ペースメーカーが機能しない時、タイムが出ないと思ったら勝負に徹するのも戦略。ついていかないというのも、1つの勝つための手段なんです。始めに突っ込んで後半タレるというのは、中高生みたいなレース。私もよくあるので、人のことは言えませんが…」と語っています。

川内さんが言うように、やはり優勝して選ばれないというのはどうなんでしょうか。レ-スに勝つというのはそれなりの重みがあるものです。そしてもう一つ気になったと言っているのは、重友さんがトップに3分以上差をつけられたのに、笑ってゴールしていたという指摘です。

この日本の長距離・マラソン界は実業団を頂点とするシステムで、選考する側も、実業団の関係者と言われています。それだけに実業団ランナーは疑問を持っていても、なかなか声を上げづらいのではないでしょうか。

田中選手を指導する第一生命の山下監督によると、とても納得できる結果ではなく、本人もだいぶショックを受けているとのことです。これまで何度も物議を醸し出してきたマラソン選考ですが、今回もまた後味の悪さが残った選考でした。田中選手には捲土重来、次回にその口惜しさを繋げてもらいたいと願っています。