会長の”三行日記”

2015.04.07

大塚家具お家騒動 No.2703

 すっかりご無沙汰してしまい、大変申し訳ありませんでした。言い訳以外の何物でもありませんが、年度末の3月後半から毎日何かと仕事に追われ、なかなかゆとりの持てる日々を送ることができず、カキコミもままなりませんでした。どうぞご容赦下さい。

さてその間、桜の花は既に満開となり、このところの愚図ついたお天気の影響で、花見も満足に行えないような今年の状況です。やはり週末に1日でも爽やかな日がないと、人々は優雅な気持ちで楽しめないものです。

また世間を賑やかせた話題の中に、大塚家具の親子の確執の問題がありました。結果としては株主総会で娘さんの方の現社長側が勝利を収めたわけですが、負けた会長側もこれに諦めることはなく、再度巻き返しを図ると言っていますから一件落着とは言えないのではないでしょうか。

でもどうなんでしょうか。企業としては大きなマイナスイメ-ジではないでしょうか。この総会の席でも会長のみならず、久美子社長の母親からも痛烈な娘批判が出るくらいの、壮絶なバトルが繰り返されたみたいですが、親子の間でここまでの確執が果たして起こるものなのでしょうか。

一部の株主からは見かねて、「会長が進めた富裕層向けのビジネスと、社長のいうカジュアルな製品の両方をやればいい」と、双方の融和を求める声も相次いだとのことです。

いったい血の繋がった父娘がここまで争う理由は何なのか、私たち門外漢には計り知れないものがあるわけですが、対立の背景には双方の大きな経営路線の違いがあるようです。

この久美子氏が社長に就任したのが平成21年3月のことで、それまでの社長の勝久氏は会長に退きました。就任するや否や、久美子社長は今までと異なる路線をとり、店舗運営のやり方などを見直しました。

前社長は入り口で顧客に名前や住所を書かせて登録し、店員がついて回る接客販売で会社を成長させました。しかし久美子氏は、この接客方式が利用客の心理的な負担になり、客足を遠のかせるとして、カジュアルで気軽に入れる店作りを進めるようになったのです。

元々たたき上げで一介のタンス職人から身を起こした超ワンマンの勝久氏は、このやり方を自分の敷いた路線の否定と捉え我慢できなかったのです。こうして昨年7月に久美子氏を解任し、取締役に降格させ自分が社長を兼務する形で、再び経営の指揮を取るようになったのです。

しかしながら業績は上がらず、役員の中でも久美子氏の復帰を望む声が増え、今年1月のような社長復帰の経緯になったのです。そもそもたたき上げで、一代でここまでの会社にした勝久氏と、旧富士銀行出身で、経営コンサルタントも務めた経験もある才媛の久美子氏とは、水と油のようなもので全く肌が合わないとも言われています。

でも上場企業でもあるゆえに、同社の醜い確執は単なる親子喧嘩では済まされないものと思われます。もちろん会社のイメ-ジも大幅なマイナスになることは間違いなく、「コップの中の嵐」騒動のうちにはニトリやイケアといった新興勢力にそのシェアを食われているのではないでしょうか。

とにかく内輪でそんなことをしていられないほど、経営環境は深刻で刻々変わっているとも言えます。近年めずらしいお家騒動を期せずして私たちは見ることになりましたが、会社あってのなんぼということを考えたら喧嘩している場合ではないように思えるものです。