会長の”三行日記”

2015.10.09

ノ-ベル賞受賞その2 No.2774

もう一人のノーベル賞受賞者は物理学賞の梶田隆章さんです。56歳とまだ若い梶田さんですが、 物質を構成する素粒子の一つである「ニュートリノ」に質量があることを示したのが認められたのです。

ニュートリノそのものが何だか解りませんが、これに質量があると証明した成果は、現代物理学の基礎となる「標準理論」を覆し、研究の新たな地平を開いたそうです。

またニュートリノの性質を明らかにすることは宇宙の成り立ちの解明にもつながり、この分野での日本のさらなる貢献が期待されると言われています。

ニュートリノに質量があることは、何を意味するのか、この宇宙の成り立ちの解明について次の説明が記載されていました。スーパーカミオカンデなどでの観測の結果、ニュートリノの質量は電子の100万分の1より軽く、質量がある物の中で最も軽いことが分かってきた。

ただし、質量が極めて小さい素粒子には、極めて質量が大きい「相棒のような素粒子」があるとされる。こうした素粒子は現在ではほとんど存在できないが、極めて巨大なエネルギーの中では存在したと考えられている。

つまり、ニュートリノの質量の由来を知ることは、ビッグバン直後の宇宙の姿を知ることにつながる。また、ニュートリノを使って天体や宇宙を観測する「ニュートリノ天文学」にも期待がかかる。太陽よりも巨大な星は死ぬと超新星爆発を起こす。

この時、爆発エネルギーの99%はニュートリノとして放出されることが分かっている。さらに他の物質とほとんど反応しないため、光よりも早く星から飛び出す。87年に小柴氏らが観測した超新星爆発のニュートリノも、光より早く地球に届いていた。

このビッグバン理論とはこの宇宙には始まりがあって、爆発のように膨張して現在のようになったとする説のことを言うらしいです。こう聞いてもまだよく解らない私ですが、梶田さんがこの受賞は自分個人だけのものではなく、100人を超えるというグループでの研究成果によるものと指摘しています。

また先に2002年にノーベル賞を受賞した小柴昌俊さんと、故戸塚洋二・東京大特別栄誉教授という先輩研究者との出会いが今日の研究を支えていたみたいです。特に戸塚教授に関してはその功績が非常に大きく、生きていれば共同受賞の可能性もあったと言われています。

しかしながらここまでの道のりは決して平坦ではなく、研究施設であったスーパーカミオカンデのセンサーの過半数が破損する事故も発生し、5年がかりで修復した研究チームにとって最大の試練も掻い潜ってきたみたいです。

またスーパーカミオカンデでも、1日に観測できる大気ニュートリノは2個程度に過ぎないと言われ、梶田さんは535日間にわたるデータの蓄積で精度を上げ、98年に成果を発表するという地道で根気の要る研究を続けていたのです。

そしてご本人が言われているように、今回の受賞に対しては「この研究は何かすぐに役立つようなものではなく、人類の知の地平線を拡大するような研究を、研究者個人の好奇心に従ってやっているような分野。純粋科学にスポットを当てていただいたことは、非常にうれしい」という価値あるものだったようです。

それゆえに私たちの住む宇宙は、このようにまだまだ未知な部分を秘めているゆえ、短い時間の研究では解決できず、多くの人が興味を持って長い年月を掛けて謎解きに参加する必要があると付け加えています。とにかく素晴らしいの一言です。若い人に是非引き継いでもらいたいものです。